飛鳥2の見学会に参加して、日本の豪華客船は特殊だということに気が付きました。私がクルーズ船に乗って旅行したのはまだ1回。そのときのクルーズ船はセレブリティー マキュリー(バハマ籍)でした。 日本のクルーズ船は、一体どんなところが違うのでしょうか。
私が驚いたのは、飛鳥2の世界一周の乗客の99%が日本人だということ。日本人が多いとは思っていましたが、99%ということは、例外を除けば外国人の乗客はいないということです。その日本人も、そのコストを考えれば特別な富裕層、3ヶ月以上の連続した休暇をとれるのは一線を退いた人でなければこの船旅への参加は無理でしょう。結局、乗客はお金持ちの退職者と配偶者・家族というのが想像できます。 マーキュリーの乗客は、1週間という短いクルーズということもあり、高齢のカップルは多いのですが、若い新婚のカップル、現役のグループなどと年齢も色々、船の発着がバンクーバー、使用言語が英語ということもあり、肌の色も髪の毛の色も様々でした。 また北米では、クルーズは旅行の1つのスタイル、特に高価ではないと考えられているので、富裕層だけでなく、経済的な意味でも色々な層の人達がいたと思います。 船の豪華さや食事の美味しさも重要ですが、乗客の構成は、長い船旅では重要な要素だと思います。色々な年齢・色々な国から色々な人種の人が混ざっているのが、自然で面白いと思います。 以前、アメリカでジャーナリストをしていた友人が、アリゾナのサン・シティー(北米の退職者を対象とした高齢者ビレッジ)を取材した時の感想を話してくれました。サンシティーは、陽射しが明るく街はきれい、ゴルフ場にプールもあり素晴らしい環境で、理想的な高齢者のコミュニティーとして、日本のテレビでも放映されたこともありました。しかし彼女は、町で見かける人のほとんどは高齢者、若い人や子供がいない街の雰囲気を異様だと感じたそうです。そして、自分が高齢になった時、どんなにきれいで快適な環境でも、そこには住みたくないと言ったのです。飛鳥2世界一周の船内の様子を想像してみると、そのほとんどが高齢者です。前述のアリゾナのサンシティーや、つい最近高齢の友人を訪問した高級退職者住宅を連想してしまいました。船の中も一種のコミュニティーと考えれば、色々な年齢層がいるのが自然です。 まして飛鳥2は、その乗客が、そのほとんどが高齢な日本人というだけでなく、特別な富裕層だけという特殊な環境だと思います。普通の日本人が参加しても、違和感を感じるかもしれません。 確かに日本語が通じ美味しい日本食が食べられ、すべてに行き届いたサービスが受けられる飛鳥2で旅に出ることは日本人の夢でしょう。 でも、もし私に飛鳥2に乗れる経済的余裕があって、再びクルーズで旅に出るとしたら・・・、1~2週間マーキュリーのような外国船で充分です。多少言葉が不自由でも、色々な人と出会える「非日常」が味わえて、時々はお寿司ぐらいは食べられるのですから。 私自身、日本に住んでいる時は、クルーズは富裕層の為の特殊で豪華な旅というイメージを持っていましたが、バンクーバーに住んでみて、クルーズの旅は荷物の移動がないので楽な上、費用がとてもリーズナブルだということを知りました。だから日本のクルーズ船の旅費が、異常に高額に感じるのです。 例えば、バンクーバーからいくつかのクルーズ船がアラスカに就航していますが、その費用をみれば、特別富裕層でなくても、クルーズが楽しめることが理解できます。 条件は7泊8日、バンクーバー発着、諸費用・オプショナルツアー・アルコールは別料金。ステートスーム(US$649~849)・海側窓付き(US$799~999)・バルコニー付き(US$1,299~1,399)、以上の金額は、往復交通費・宿泊費・船内での全行程の食事代を含んでいるのです。 飛鳥2にアラスカクルーズはないので、比較するのは難しいですが、飛鳥の一番安いステートルームで1泊約4万円、それに比べて外国のクルーズ船は、おおよそ1泊100ドル(9000円)前後、飛鳥2のコストは外国船の約4~5倍なのです。その余りに高い費用が、外国人に乗客がいない理由の1つだと思います。 また飛鳥2に外国人が乗らないもう1つの理由は、船内のアクティビティやサービスが、日本人の方ばかり向いて作られているからではないでしょうか。見学が終わり、船を下りるとき、A-4のプリントがラックにあったので1枚手に取ってみました。短い英文の下に、カタカナの振り仮名のついたBasic English Classの教材が、痒いところに手が届くような日本的サービスを象徴しているようでした。
by amtask
| 2010-07-06 05:16
| ◎ ひとり言
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Comments(4)
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rabbitjump
at 2010-07-08 20:09
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飛鳥は豪華な船内なのですね。
確かに日本のきめ細やかさはあるのでしょうが 我が家ではこんなに高額ではどんなに乗りたくても 乗ることができません。 amtaskさんのご報告で少しでも内部の様子を知ることが 出来たことはラッキーでした。 もしもクルーズすることが出来るとしたら、 安くていろいろな国の日の人と接することが出来る船旅を 私もしたいです。
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はっちゃん
at 2010-07-08 22:42
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いろいろありまして・・・ご無沙汰でした(^o^)丿
飛鳥、日本の豪華船は特殊ですか? 船はフェリーしか乗ったことがないので・・・ クルーズと聞けば、確かにまず金額が気になりますね。 バンクーバーからのクルーズは手が届きそうで、いいですね。 いろいろ違いを比較していただいて、参考になりました。 とは言っても・・・まずクルーズの旅をするためには amtaskさんのような国際人にならないとダメだわ(@_@;)
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amtask
at 2010-07-10 02:30
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rabbitさん
おはようございます。 飛鳥は豪華ですが、一昨年乗ったクルーズ船も劣らず豪華でした。 それなのに、なぜ飛鳥があんなに高額なのか不思議です。 日本語が通じるとか、日本的なサービスを期待すると、バンクーバー発の普通のパックツアーでも高額になるのです。今までのように、日本人は特別なお金持ちではなくなっていることを、日本の旅行業界の人は気付いて欲しいと思います。バンクーバーにいる日本人の方で、この船に乗りたいと言う人を私は知りません。
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amtask
at 2010-07-10 03:00
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はっちゃん
日本のクルーズ船が特殊なのは、そのサービスと価格にあると思います。サービスと価格が他の外国船と同じように一般的であれば、日本人以外の人達も乗るはず。飛鳥は、特別リッチな日本人だけを対象としているので、日本人でも普通の人や外国人は、乗船することなど全く考えもしないと言う意味で、特殊だと思います。 私も意識だけは国際人を目指していても、言葉がついていきません。でも移民が多いカナダでは、言葉が不自由な人は沢山いることに気付き、言葉だけの問題だけではないと、考えるようにしています。
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