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ひとり言 異文化の中の異文化―想像を越えたイスラムの掟

今週の月曜日は、英語クラスのポットラックパーティーの予定でした。それが金曜日になって、先生からその「予定していたパーティーはキャンセルです。でも夜7時には会場に行っているので皆さんも来て下さい。」というメール。「でもクラスがあるかどうかは、その日の7時に会場のスタッフが決めます。」と異例の内容。文面から察するに、先生の都合でパーティーが中止になったのではなく、Neighborhood house(地元の公民館のようなところで、ボランティアで成り立っている) から差し止められたようです。一体何が起きたのでしょう。

一週間前のクラスの様子を思い出してみました。
1月末の私のひとり言で、「異文化の中の異文化」でサウジアラビアのイスラム女性のことを書きました。顔まで隠したその女性は、その日も2人の子供を連れて来たのですが、クラスが終る頃、小さな子を連れた彼女の夫が現れ、彼女の夫と子供3人が勢ぞろいしたのです。その夫は英語で、翌週のポットラックパーティーの説明などを先生から受けていました。その日、その女性を恐がっていたスペイン人は欠席でした。

とにかく事の真相を知りたくて、月曜日夜7時にNeighborhood houseに行って見ると、先生と会場のスタッフが話し合っています。スタッフに理由を尋ねると、「安全上の理由で」という説明、「安全ってどういう意味?」と更に尋ねると、サウジの女性に拒否反応を示したスペイン人が、先生やNeighborhood houseに苦情を言ったことが分りました。その苦情がちょっと過激だったことも、問題になったようです。
今回の突然のキャンセルは、サウジの女性との関連がとっさに思い浮かんだのですが、予想通りでした。Neighborhoodの所長がトラブルを避けるために、パーティーは中止、状況によってはクラスもお休みにすることも考えたようですが、その日スペイン人は現れなかったためか、クラスはありました。出席者は4人、初参加のイラン人女性、セルビア人のおばさんと私が、先生を囲んで話をしていると、何と子供1人連れた例の女性が部屋に入ってきて、セルビアのおばさんの横に座りました。暖かい部屋なのに分厚いコートを脱ごうともせず、おばさんが話しかけても何も話さず、じっと座っているだけ。先生も声をかけようとはしません。その人の存在は、違和感・異文化の固まりのようでした。
私は、何故彼女がこの会話のクラスに出席するのか不思議でなりません。
私の理解を超えた行動を取る彼女は、どんな国から来たのでしょう。彼女が住んでいたサウジアラビアとはどんなところなのでしょう。
まず、ネットで検索すると、産油国であることのほか、国民のほぼ100%が最も戒律が厳しいイスラム教の信者の国であり、世界で最も男女差別が激しく、女性であるというだけで独立した人格が認められないという国だったのです。女性に対する掟は厳しく、特に「公の場所で親族以外の男性と同席してはならない。車の運転はだめ。体の線が露になる服装もだめ。公の場で物を食べてはいけない」など、信じられないような
ことばかり。
そういえば彼女は、男性の出席者がいる日は一番端のテーブル座わり、どんなに暖かくてもコートを脱がず、目だけを除き布で覆っていたのは、厳しいイスラムの掟を守るためだったのす。ポットラックは実現しなかったので、人前で物を食べるかどうかはわかりませんでしたが。

前回のひとり言で、彼女は夫からの指示でこのクラスに来させられているのでは、と考えましたが、もしかして自分の意志で来ているとしたら・・・女性にとって全く不自由な自国と比べて、女性が男性と平等で自由なカナダの雰囲気を、このクラスで感じたかったのかもしれません。どちらにしても、自由な私達からみれば気の毒と言うしかありません。
でも「郷に入れば郷に従え」という格言がありますが、せめてカナダにいる間だけでも口を覆った黒い布は外して、言葉は通じなくても挨拶をして名前を名乗り、笑顔を見せて欲しい、それが異国で住まわせてもらう、学ばせてもらうための最低限度の礼儀ではないかと思います。

バンクーバーの小さな英語クラスで起きた異文化のもめごと、これからどんな結末を迎えるのでしょうか。
by amtask | 2011-02-11 18:03 | ◎ ひとり言 | Comments(6)
Commented by rabbitjump at 2011-02-12 17:32
先日のイスラムの女性のことですね。
私もどうなったかしらと思っていましたが、、変わらない様子ですね。今までの習慣はきっととても厳しくてそれをすぐには
きっと直せないのでしょうね。
少しずつ薄皮をかぐようにでも皆様の中に溶け込めるようになると
いいですね。
↓の景色素晴らしいです。とくに空の色がなんともいえませんね。
少しずつ春の気配が感じられますね。
東京も昨夜は春の雪が降り、、朝はうっすらと雪化粧でした。
雪は解けましたが寒い日中でした。
早く暖かい春が来て欲しいですね。
こちらも春待ちです。
Commented by はっちゃん at 2011-02-12 18:29 x
日本にいては経験できない不可解な?ことが起こりますね。
<私は、何故彼女がこの会話のクラスに出席するのか不思議でなりません。>
全く、不思議???(@_@;)???
夫に言われているのか、彼女の意思なのか?
いざこざが大きくならないと良いですね。
何だか、落ち着いて英語の勉強に身が入らず、大変だわ。
その後の展開をまたお知らせください(笑)やじ馬でゴメン!

それにしても・・・
自然はいいですねぇ~~~\(^o^)/ 
毎日こんな景色を眺められて、羨ましい。
スノードロップにクロッカス・・・まさに春の兆しですね(*^_^*)
Commented by amtask at 2011-02-13 15:23 x
rabbitさん こんばんわ。
朝から雨ですが、夕方は雨も上がり春のように暖かいです。
東京は雪、雪が止んだあとが寒いのですよね。
早く暖かくなるといいですね。

イスラムの女性でスカーフを被った人は多いのですが、顔まで覆う人はそれほど多くありません。
サウジは一番戒律が厳しいイスラムの国、生まれたときからそんな国で育つと、自由になっても呪縛から逃れられないのかもしれません。
もしそうだとしたら、気の毒に思います。
でも、自分の情報を何も開示しない人に対して、周囲は手を差し伸べることはできないのです。
そして「郷に入れば郷に従え」で、もし私達が、中東のイスラムの国に行けば、スカーフぐらいは被らなくてはならないそうです。
風邪をひいてもマスクもしないカナダに来たら、せめて目から下を覆う布は外すのが、礼儀だと思うのですが・・・
 

Commented by amtask at 2011-02-13 15:45 x
はっちゃん こんばんわ。
今日はオリンピックの記念日で、街は大騒ぎでした。
去年の今頃も暖かかったですが、今日も春のようでした。

地域の教室などに行くと、日本人は私一人のことが多いです。
日本人は少ないのでこちらから溶け込もうとしないと、地域では何もできません。
でも片言の英語でもコミニケーションをとろうと努力すれば、それに答えてくれるのがカナダという国です。
コミニティーセンターの英語のクラスでは、初級でも先生の指示が理解できること、が条件となっていました。
このクラス、ボランティアの先生の好意で成り立っているような自由なクラス、微々たる会費を払うだけで何の規則もありませんでしたが、
これを機に、何らかのルールが作られるのではないかと思っています。
実は、私もどうなるのか興味深々。
またお知らせしますね。
Commented by 浮遊子 at 2011-02-14 10:33 x
単一民族の日本ではこのような経験は滅多にできるものではないので
amtaskさんの記事 興味深く拝見しました。
夫の意思か 自発的な参加かはわかりませんが 少しづつでも
男女平等なカナダの雰囲気に慣れて ベールを脱ぎ 会話を交わすことに
なれば良いですね。
でも 学校や先生は対応に苦慮なさっておられるようで 大変ですね。
この女性 一人のためにクラスの雰囲気が変わってしまうのではありませんか? 私もやじ馬の一人(苦笑)・・またのレポートお待ちしています。

バンクーバーはスノードロップやクロッカスが咲いて 一足先の春の訪れですね。
こちらは梅が見頃です♪
Commented by amtask at 2011-02-14 17:33 x
浮遊子さん こんばんわ
いくつか英語学校に行って見ましたが、こんな例は初めてです。
学校であれば、一応規則があるのですが、ここは先生の善意でなりたっているところ、細かい規則が無かったので、こんな騒ぎになってしまったのだと思います。
先生は、この女性だけが原因ではなく、強い拒否反応を示したスペイン人にも問題があると思っているようですが、私は、「郷に入れば郷に従え」の気持ちが大事と思っています。
そしてもし、自分の家に、目以外をすべて覆い隠した状態の人が入ってきたら、盗賊だと思ってしまうでしょう。
スペインの人が怖がる気持ちも、よく理解できます。
他の生徒達はどう思っているのかそれも知りたいです。
またお知らせしますね。
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