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安全保障関連法案 (戦争法案)可決について思うこと

7月16日、 安全保障関連法案は衆院本会議で自民党、公明党などの賛成多数で可決された。民主党、共産党、社民党は討論後に退席し、維新は自らが提出した対案の採決後に退席するなどした。安保関連法案は7月中に参院に送られた。という日経新聞の記事を読みました。

私は今、カナダ・バンクーバーに住んでいますが、この問題がどうなるのか、とても心配でした。日本滞在中に聞いた友人達の中には、「最近の日本の経済発展は、アベノミクスのお蔭、株も上がっているし、景気も良くなっている。」と話している人がいましたが、ちょっと疑問に思いました。ある部分で日本の景気は回復したし、株も上がっている、不動産も外国人の爆買で、特定の不動産は上がっているかもしれませんが、本当に国民も生活が向上したのでしょうか。
アベノミクスの恩恵を受けているのは、ごく一部に人達だけではないかと思うのです。

経済の話は別にして、この「戦争法案」の行方が、カナダに戻っても気になって仕方がありません。予想されたこととは言え、多くの国民の反対を押し切って、可決されてしまいました。
政治について詳しくない私でも、日本の憲法9条の存在は知っています。そして憲法はその国の最も基本となる法律なのに、改憲という方法をとらず、憲法の内容の解釈の見直しで、実質的に憲法を骨抜きにしてしまう今回の戦争法案、どうしても納得できないのです。それがまかり通れば、日本は一体どうなるのでしょう。軍事国家となり、多くの国を敵に回し、自衛隊や若い人達が、自衛のためだけでなく、戦地に行かされるかもしれないのです。
そんな「戦争法案」の可決、今私が住んでいるカナダでは、どのように報道されているのか。またこの法案と関連の深い米国、英国ではどうこの問題をとらえているのか、調べてみました。

CBC(カナダ)7月16日付
日本の衆議院は、日本軍(自衛隊)の役割を拡大することを諒承した。
今週木曜日、反対派議員が抗議してデモ行進する中、日本の衆議院は、戦後の防衛政策を急転換し、自衛隊の役割を拡大することを諒承した。
国会の内外で反対が起きているにもかかわらず、安倍首相の与党連合が強硬に議会に通した法案は、その翌日可決された。
木曜日、討論や採決が行われている国会のビルの外で、多数の抗議者が「戦争反対」と叫び、「安倍反対」のスローガンを掲げていた。
安倍はかねてから、世界第二大戦後にアメリカが草案を作った日本の自衛隊法における制限を取り除きたかった。「存在感を高めている中国に対抗して、自衛隊の役割をもっと強化し、国際的な平和維持のために貢献し、テロの攻撃のような新しい脅威に備えるべきだ。」と安倍は述べた。また「(戦争)法案は日本人の生命を守るため、戦争のリスクを避けるために絶対に必要。日本を取り巻く環境の保証は厳しさを増している」と採決の後、述べた。
それに対して抗議者は、「その法律は日本により大きなリスクをもたらし、戦争放棄という憲法の趣旨に逆らうものだ。」と反論した。
反対派議員は、党首がその法案への抗議演説をした後 デモ行進を行った。安倍が支配する自民党とパートナーである公明党は、衆議院において(野党の)Boycottがあるのに、彼らが475議席の2/3を支配できるので、簡単に法案を可決してしまった。
その法案は、軍隊(自衛隊)が、アメリカやその他の国が攻撃された場合、たとえ日本が攻撃されなくても、彼らを防衛(参戦)することを認めるものだ。
抗議者は、この状況下での参戦が余りにも曖昧で、将来の政府に与えられる解釈の幅が大きすぎるとし、与党連合の大多数による圧政としての採決を批判した。
この法案は、世論調査で80%の国民が反対し、大多数の人々が違憲だと信じている。
安倍は憲章を変えたいと思っているが、国民の支持が充分に得られず、代わりに戦争放棄の条項の解釈を見直し、その解釈(reinterpretation)に沿った法律を巧みに作ったのだ。
木曜日、安倍はこの法案が国民から法律が受け入れられないことを知り、全力を挙げて、人々の理解を深めるよう説明すると言った。
その採択については、日本国外に、事細かに(closely)モニターされた。
(中略―中國の談話)

現在、その法律は参議院に送られ、60日以内に採決することになっている。しかし、木曜日の可決で、法律の制定が事実上決まったことになる。何故なら、より強力な衆議院の決定で、参議院の投票を無効にできるからだ。
※このCBCの報道はとても分かり易く、中立的な報道だと思いました。

BBC(イギリス)
日本の自衛隊は世界第二次大戦以後、初めて国外でも戦闘出来るようになった。
新法案が国会で承認された後、日本の軍隊は その制限を拡大し始めるだろう。
世界第二次大戦後以来、日本の自衛隊は自己防衛の場合だけ活動できると、憲法が許可していたのに、それが著しく変わる。
その変更は憲法に反するというので、その法案に反対するデモが続いている。

CNN(アメリカ)
日本の衆議院は、軍の役割を拡大することを諒承した。
3つのハイライトとして
1、衆議院は新しいSecurity legislation(戦争法案)を可決した。
2、数千の人達が雨降る中、抗議デモが行われている。
3、安倍総理は、日本が海外の戦闘で、もっと大きな役割を担うことを望んでいる。

しかし多くの日本人は、それによって起きる結果を恐れている。同盟国による戦争に引き込まれ、自衛隊員や国民がリスクに晒されるのではないかと。
アメリカ側の報道官は、「日本が同盟国との協力を強化し、地域的、国際的な安全保障活動において、より積極的な役割を担えるよう努力していることを歓迎する。」と述べた。

4月、日米両国は ガイドラインの重大な変更をアナウンスした。そのガイドラインは、双方の防衛関係を統治するものだが、日本は、同盟国が攻撃された場合、防衛することが可能になるということだ
以前は、日本の軍の活動は、海外において人道的な役割しか認められていなかった。

今年、日本は2人の国民がISISによって打ち首にされたことで動揺した。それは日本政府がテロ集団によって影響を受けた人々を救う資金を用意すると宣言したことと関連がある。
中國と韓国も、日本は軍国化することへの懸念を表明した。

安倍首相の談話(日経新聞)
 安倍晋三首相は14日夜の記者会見で、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案を閣議決定したことに関し、「米国の戦争に巻き込まれるという不安を持っている方もいる。そのようなことは絶対ない」と述べた。集団的自衛権は「日本の国民を守るためというのが日本と米国の共通の認識だ」と訴えた。
 武力行使の新3要件に触れ「厳格な歯止めを定めた」と強調。「戦争法案などという無責任なレッテル貼りはまったくの誤りだ」と語った。

4か国の報道を読んで
4か国の報道を比べてみると、諸外国の報道と安倍首相が日本の国民に向けて述べていることが 随分違っているように思います。
CBC (カナダ) CNN(アメリカ)やBBC(イギリス)の報道も、共通していることは、
「日本の自衛隊は、自衛だけでなく、海外の戦闘で、もっと大きな役割を担うことになる。日本で大きな反対運動が起きているのに、強行に法案を可決させた。」ということです。
おとなしい日本の国民が、大きなデモを行っていることも、日本のメディアは報道を渋っているようでした。このままでは日本の国民は、特定秘密保護法により、政府に都合の悪いことは何も知らされず、戦争法でいつでもどこへでも、その時の政府の判断で、戦地に送り込まれることになってしまう、考えただけでも恐ろしいです。
私達が今できることは何でしょう。不合理なこと反論し、意見を述べるということですが、具体的にできることはデモに参加する。選挙で投票するぐらいしか思いつきません。今日本に居ない私ができることは戦争法に反対する署名と、日本から離れた場所に居るがゆえに見えてくること、知ることができることの情報発信しかありません。
長々と書いたのは、国外にいるという立場で感じたこと・知りえたことを、日本に居る友人に読んでもらいたい、また自分のための備忘録のためでもあるのです。
by amtask | 2015-07-23 02:19 | ◎ ひとり言 | Comments(2)
Commented by rabbitjump at 2015-07-24 20:52
本当に、この先どうなるかと気をもむばかりです。
日本は戦争をして、犠牲者を沢山出した国なのに
と思います。
amtaskさんのようにしっかり勉強をしないと
と反省です。
ここで読ませていただきました。
ありがとう。

Commented by amtask at 2015-07-25 02:52
おはようございます。
長い、文章読んで下さって有難うございました。
戦争は絶対反対はもちろんですが、
今までの安倍首相のやり方をみていると、
日本の民主主義さえも、危うくなってくると、
心配になりました。
CBC(カナダのTV)の説明がとても分かり易かったので、
載せました。
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