バンクーバー不動産バブル(その後3 2018年2月)

2018年ももう2月も半ばを過ぎました。2015年頃から始まったバンクーバーにおける住宅価格の高騰は、バブルの様相を呈していたようです。そのバブルを抑えるため、2016年の外国人購入者に課せられる15% Transfer tax 、 2018年2月にはEmpty home tax が施行されました。この2つの新税の導入で、加熱した住宅価格を冷やす効果はあったのでしょうか❓
2017年の年末までの経済や不動産に関する記事を拾い読みして、カナダ、特にBC州やバンクーバーの2017年の不動産市場の状況を探ってみました。

[外国人所有者の実態]
バンクーバー・リッチモンドのような高額の市場において、新しいコンドの1/5は外国人が所有している。しかし実際の外国人所有者が所有する割合はもっと高いはずだ。(例えばカナダの企業が所有者になっている不動産の実質的な所有者が、外国人である役員であっても所有者は外国人とはならない。 また、外国人が子供をカナダに留学させて不動産の名義人にすると、所有者が子供(カナダの居住者になっていれば)の場合、外国人が所有していることにならない。そして本当の所有者は、バンクーバーやトロントの中心部の不動産を、潤沢なオフショアマネーで購入するので、住民には手が届かない高値の市場が作りだされてしまう。

バンクーバーで最も好条件の立地に建つコンドミニアムの1sqft(スクエアフィート、約0.0929㎡)当たりの価格は、$1800(カナダドル)、1000sqf (約93㎡)の住戸では、1.8million(約1億6千万円)という計算になる。そのような贅沢な住宅市場での主な購入者の85%が、外国人だという。国別では、中国・フランス・ドイツの順。
外国人買主の割合が、実際にはどれ位あるのか把握しにくい。特に高額不動産を購入している買主が、どこからその資金を持ち込んでくるのか、その資金がカナダの住宅高騰の原因になっていると考えられるので、カナダ政府は必死で資金の出どころを突き止めようとしている。

[2017年の不動産市況]
2017年全体でみると、2015年・2016年で価格急騰した住宅市場は、落ち着きをとりもしたように見える。年末には新規売出し物件が44.5%増加し1891戸となったが、在庫が減り(前年比-5.1%、54,655戸)、過去10年平均より4.4%減少。
ベンチマーク・プライス(比較のための指標価格)は、すべてのタイプで15.9%上昇し、2017年には$1,050,030(約9400万円)となった。
タイプ別では、コンドミニアム(+25.9%)、タウンホーム(+18.5%)、戸建て(+7.9%)。
バンクーバーの不動産協会は、2017年のKey aspect(重要な側面)は、有効なListing (売り出し物件・在庫)の減少が、価格を押し上げた。特にコンドミニアムとタウンホームでの競争は激しく、1つの売出し物件に複数の購入申込みも珍しくない。

[政府の政策]
BCのPremier(州知事) は、ニュージーランドのように、外国人がBC州の不動産を買うことを禁じる政策に反対している。開かれた市場において、そのような禁止は国際社会に間違ったメッセージを送ることになると述べた。

[カナダの経済]
2017年のカナダの経済は良好。人口も増加、失業率は低下し、賃金も高くなった。
Bank of Canadaは政策金利(Overnight interest rate )を2回引き上げたが、それでもまだ低金利(1.25%)である。

[住宅購入に関する政策]
外国人住宅購入者に課される15%のTransfer tax に加えて、2017年には、次の2つの政策が住宅価格に影響を与えた。
1、モーゲージ(住宅ローン)のルールを厳しくし、借主にストレステスト(現在はまだ低金利だが、将来金利が上昇しても、ローン返済が滞りなく行えるかどうか見るのが主な目的)
2、Empty home tax(※参照)

[2017年総括]
以上の2017年の市場の状況を纏めてみると、次のようなことが考えられる。
2017年の価格上昇の一因は、在庫の不足にあるが、特にコンドミニアムの需要が在庫をかなり上回っていた結果、売り手市場になった。その原因は、金利の上昇とモーゲージのルールが厳しくなったため、一戸建てを諦めた人がタウンホームやコンドミニアムに殺到したからだ。
CMHC(the site for housing and mortgage insurance information in Canada.)のアナリストは、2017年の住宅市場には2つの異なるスピードの住宅市場があったと述べた。1つは戸建て住宅でBalanced marketで価格は上昇しない。もう1つは共同住宅(タウンホームやコンド)で、未だに複数の購入申込書が入る状況で在庫が不足し、価格が上昇する市場。

以上が2017年の市況についての記事をまとめたものですが、昨年2017年の夏に綴ったひとり言で、Empty home tax(※参照) についての詳細を書きました。その新税が2018年2月に施行されましたが、この新税で果たして住宅の供給が増えたのかどうかについては、まだ結果は出ていません。しかし、バンクーバーにおいてセカンドハウスを持つすべての所有者(外国人だけでなく、カナダ国籍者、バンクーバー住民も)に、この新税が課されるので、その課税から逃れるため、所有者の中には、新しく購入した家やコンドを貸し出したり、売却する動きも出てきています。
更に、バンクーバーの中心部からBC州の郊外まで、新規の住宅建設計画が進み、すでに建設ラッシュが起きている地域も見受けられるようになりました。数年後には大量の新築住宅が市場に売り出されたり、貸しに出されたりするるはずです。今後のBC州やバンクーバ市の人口の動向と住宅供給のバランスが、住宅の価格を決める鍵となるでしょう。
地元の住民は、金利が上昇しローンの貸し出し条件が厳しくなれば、住宅の取得はますます厳しくなり、住宅価格を抑えなければ、その地に住めなくなってしまうでしょう。今後の価格の動向を、注意深く見守っていきたいと思います
※参照
バンクーバー市は、Empty home tax という従来の固定資産税に追加する新税を決めた。対象者は、指定された地域に本宅でない住宅を所有するすべての人。
所有する住宅がMain residence (生活の本拠地となる自宅・本宅)ではない場合、1年の過半数の日数を貸しに出さなければ、固定資産税評価額の1%を、従来の固定資産税に加えて納税しなければならない。
実際、市はバンクーバー市にある住宅の所有者全員に、本宅か否か尋ね、本宅だと回答した人には、Declaration(宣誓書)を提出させた。一部の例外を除いて、それ以外のEmpty homeを所有する人は、2018年の2月に従来の固定資産税と共に、この新税を納税しなければならない。

<上記記事の出典>
The province, CHSP(Canada Housing Statistics Program), Canadian Real Estate Wealth, CMHC(the site for housing and mortgage insurance information in Canada.)
Vancouver Sun, Street Solutions, Mortgage Broker News, BCREA Housing Market Update



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by amtask | 2018-02-21 04:49 | ◎ ひとり言 | Comments(2)
Commented by rabbitjump at 2018-02-21 10:15
カナダの状況、amtaskさんのおかげで少し理解です。
日本も昔のバブル期とは違うようですが
先日のTV放映ではバブルのような?銀座のお店も
活気が出てきているようですし
若い方には港区や品川やの高層マンションが売れているようです。
1億2億でも6倍の申し込みだとか。
なんだか別世界を見ているようです。
カナダの新税。
日本では仕方がない事と思いますが、復興税が付いてきます。
少ない中から税金、介護費やらと削られて
手元に残る金額の少ないことに頭が痛いです。
Commented by amtask at 2018-02-22 02:46
rabbiさん
おはようございます。
東京のバブル、今から30年前のバブルとは違うようですね。
最近の銀座の鳩居堂辺りの地価、今は30年前のバブル時より上がっているようですが、空家も沢山。
昔のバブル時は万遍なく価格が上がったので、皆が豊かになって、景気が良くなったと思います。

東京の湾岸地域のコンドもそんなに人気があるのですか?
若い人と言っても、どんな人達が買うのでしょうか?
世界中どこでも、Bay area(海の近く)は住宅も物価も高いと聞いていましたが。
税金はホントに怖いですね。いかに節税するかが、私達の課題です。
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