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バンクーバー不動産バブル(その後4)2018年4月

以前のひとり言で、「サプライズ」と題するblogの中で、MSP(カナダの公的医療保険)の保険料が半減されるという、嬉しい記事を書いた。他にも新しい橋の通行料の無料化や、BCフェリーのシニアに対する優遇の復活など、庶民の為の大盤振る舞いが発表された。しかし限りある財源、減税だけでは成り立たず、どこかで増税するに違いないと思っていたところ、案の上、2月に次のような不動産に関わる増税が発表された。

BC州の新政権が決めた新しい不動産に関わる税制
☆外国人買主への追加の不動産取得税(Additional PTT for Foreign buyer )2月20日施行、
2016年に決まったルールは、Fair market value(市場価格)×15%、対象地域はGreater Vancouver だけであったが、今回の改正で、税率は20%に増税、対象地域もかなり広い範囲まで拡大された。(Capital regional district・Central Okanagan・Fraser Valley・Nanaimo)

☆Speculation Tax(投機税)
対象者:外国人に限らず、BC州で所得税を払っていない空き家の所有者。対象となる地域:メトロバンクーバー・フレイザーバレー , Capitol(ヴィクトリア)・ナナイモ・ケロウナ・西ケロウナ. とかなり広範囲
税率:固定資産評価額(Assessment value)×5/1000 (2018年) となり、2019年度は税率が一挙に20/1000と4倍に跳ね上がる。この新税を免れるには、所有する住宅を、
自宅(生活の本拠とする)として使用
1年の半分以上の期間を、一定の条件を満たした長期賃貸にする 

☆Property Transfer Tax(登録免許税)の増税
所有権移転の時にかかる税で、固定資産評価額$3million超の住宅には、3millionを超えた部分に、従来の税額に追加税として2%を課税される。2019年から$3million以上の居住用不動産(空き地を含む)に増税。

☆Property tax, school taxの増税
住宅の場合、Vancouver city の固定資産税は、2018年度は、Assessment $1000につき$2.555 の料率で計算される。
Property tax は、いくつかの項目、例えばGeneral purpose, School , Translink(公的な交通機関)・市町村税などで構成されていて、School 税は大きな割合を占めている。そのSchool 税について、2019年から$3million超の住宅は増税が予定されている。これは高額不動産の所有者に課される税金。地方税であるのに、高額不動産の所有者の身元調査が厳しそう。高額不動産所有者のカナダ国外の所得や資産にも言及するようだ。

また私にとっては目新しい用語―Satellite Familyの意味が興味深く、バンクーバーでは結構多い家族形態。夫が本国で仕事をして多大な所得を得てカナダBC州に住宅を所有しているが、妻子だけをカナダBC州に住まわせ、その夫はカナダBC州に住んでいない場合、その家族はSatellite familyという。
このような形態の家族が住む住宅は、家の所有者がBC州で申告納税していない場合、新税の課税から逃れる事はできない。
その為に、BC州政府は、住宅所有者の国外の資産や所得状況まで調べるという。
またBC州の新政権の住宅政策の目標はAffordable(庶民が買い易い、借りやすい)、その対極にあるのがラグジュアリーな住宅、金額にして3millionに設定し、3million 以上の住宅には高率の税金をかけ得る仕組みを作った。3million は約3億円弱
上記の税制改正は今年の2月末に施行されたが、1か月以上経った4月現在、次のような結果が発表された。上記の税制改正で効果があったのだろうか?

BCREA(BC Real estate association-BC州不動産協会 )によると、BC州における住宅販売は、今年3月は前年同月比で急落したが、価格は維持されている。協会によると、3月の販売は、前年同月より、24.6%(7409戸)下落したが、同じ時期の価格は5.3%上昇した。新しく発表された先月(3月)の住宅平均価格は$726,930.昨年3月以降から続いている有効な売り物件の不足のために、依然として高値が続いている。また、この売り物件の不足する傾向が続く限り、価格は上昇すると予想される。

しかし、今年1月以降に施行されたモーゲージ(住宅ローン)の厳しい負担で、消費者の需要は急に抑制されることが予想される。しかし普通の資金の借主から20%の購買力を奪い、消費者の需要の低迷を招くという結果になってはならない。

BC州の今年3月までの住宅販売の合計は$5.39 billion, 2017年3月より20.6%下がった。昨年の第一四半期に比べ、1月以降の売却額は、1.7%減り、$13.9 billionとなった。居住用の売却は今年3か月間で9.4%減り、平均価格は、8.5%上昇し、$732,000.となった。

以上がBCREAの発表ですが、約3年で2倍に住宅価格が上昇した地域もあり、その価格を抑えるには供給を増やす必要があると思う。バンクーバーのダウンタウン地域にある不動産の所有者は、富裕な外国人が多く、BC 政府はいかにその不動産を,売買や賃貸の市場に出させるかが課題になっているようだ。そのためにEmpty home taxを導入したが、その大きな効果はまだ出ていない。
また、厳しいモーゲージのルールと金利の上昇で、需要が低迷すると予想されるが、住宅一時取得者に大きな影響を与えるのは必至だ。ここ数年の急激な価格上昇はバブルなのか、バブルの部分がどれほどのものなのか、正確に掴むには、もう少し時間が必要だと思う。

by amtask | 2018-04-15 18:48 | Comments(2)
Commented by rabbitjump at 2018-04-16 10:10
減税は嬉しいですが、
確かにどこかでその分を埋めわせるのですね。

日本は庶民の年金も介護保険料も上がって
少なくなりましたし、復興税など、、
手元に戻ってくる年金の少ない事、。
自然災害も多く、若い人が減っている、、
、、この先が心配です。
若いIT関連の人たちは
億という住宅に住んでいる人もいるようですが
老齢の我が家には厳しい現実です。
静かに生活しましょ^^
Commented by amtask at 2018-04-17 09:15
rabbitさん
おはようございます。
カナダ政府も財政的に楽ではないようで、
公的年金(掛け金無の年金)の支給開始年齢が、
65から67になるそうです。
それにより、庶民の生活はますます大変になると思います。
今まだ不動産価格が上がっていますが、
住んでいる人は売らない限り、支払う税金が増えるだけで、何の恩恵もありません。
住宅は住む為の資産、投機の対象にさせないように、
政府も苦労しているようです。
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