昨年9月、私のblog「ひとり言」で書いた「バンクーバー不動産バブル その後-5」の中で、私は何を書いたのか、読み返してみた。要約すると、 「不動産の在庫が増え、売買が減り、売手市場から買手市場に移行しつつあるが、価格はまだそれほど下がっていない。高額不動産(例えばWest Vancouverの戸建て)は、新税の影響の為か、全く売れなくなった。バブルは弾け始めた。今後どこまで弾けるのか止まるのか。」 そして今2019年1月、2018年の総括ともいえる各種データがReal Estate Board of Greater Vancouverから発表された。 (住宅販売数-Sales)大幅に減少 バンクーバーの住宅販売は、2000年以(過去18年間で)最低。2017年と比べて約30%減少。一戸建は24,619戸売却、共同住宅は35,993戸売却されて31.6%の減少。また過去10年の平均と比較しても25%減少。2018年は売手市場から買手市場に移行した年だった。なぜここまで減少したのか、その理由は、住宅価格の高騰・金利の上昇・厳しくなった新しいモーゲージルール・新しい税制・外国からの資金流入の減少などが考えられる。 (売出物件数-Listing) 在庫は増えず、減少傾向 売り出し物件数はMetro Vancouver(※)で、53,614戸、2017年(54,655戸)と比べて1.9%減、2016年(57,566戸)と比べ、6.9%減とそれほど住宅の在庫は増えていない。因みに2019年の価格動向は、住宅の在庫が鍵となる。現在開発中の新しいプロジェクトの完成で在庫が増え、買主の選択肢も増えることが予想される。 (ベンチマーク価格)2018年の前半は上昇、後半は下落 ベンチマーク(Benchmark price)とは、平均値に基づき、売却された典型的なコンドの価格を調整した数値。2018年前半は上昇するところもあったが、後半の半年で大半の住宅価格が下落した。Metro Vancouver(※)の住宅のベンチマーク価格は$1,032,400、1年前と比べて-2.7%、 タイプ別では、戸建て(-7.8%)・アパート(+0.6%)・タウンハウス(+1.8%)だった。 2018年6月以降の直近の6か月で見ると、上昇を続けていたアパートは(-6.4%)、タウンハウス(-5.3%)と、2018年の後半で、ほとんどの住宅の価格が、下降に転じた。 (2018年の住宅販売)2018年の最終月の動向 先月12月の販売戸数は1072戸、2017年12月(2016戸)に比べて46.8%減少、1か月前の2018年11月(1608戸)に比べて33.3%減少となった。2018年の販売戸数が加速度的に減っているのが分かる。 以上が最近発表された2018年の数値であるが、それによりいくつか気付いたことがある。住宅の価格は、地域はもちろん、住宅のタイプ・用途によっても変わってくる。例えば、North Vancouver は戸建てとコンドやタインハウスが混在している地域だが、同じ時期でも戸建ては12%価格が下落、コンドの価格は7%上昇した。また場所は近いのに用途によって価格が違うことがある。例えば、West Vancouver (高級戸建て地域)とWhistler (スキーリゾートエリア)を比べると前者は価格が12%下落し、後者は価格が23%高騰していた。 また、購入者の事情で価格が変わることがある。 2016年、コンドミニアム市場は沸騰したと言われているが、多くの買主が戸建てには手が届かず、集合住宅、特にコンドミニアムに参入して、価格が高騰する結果となった。 その理由は厳しいモーゲージルールで、買主の購買力が減少したことが考えられる。また高齢化に伴い、住宅の縮小化を希望する買主が、戸建てを売り、コンドやタウンハウスに買い替えるケースが増えた。この傾向は2017年から2018年まで続いた。その価格高騰したコンド価格も弾け始めたが、2019年はどうなるのか? 30年前の日本の不動産バブルを見てきた私にとって、2018年のバンクーバーの不動産バブルは驚くほどのものではないが、2018年がバブル崩壊の途中なのか弾けた後なのか、現時点ではまだわからない。 2019年の経済情勢、住宅に関する税制・外国からの資金流入・移民政策などが、住宅の価格動向に影響を与える。特に住宅に関するいくつかの新税制が発効されて1年以上が経った。これからしばらくは、新税制の効果について注目していきたい。 <参考> ※Metro Vancouver:旧Greater Vancouver、カナダBC州の南西部に位置する行政区で、バンクーバーを中心とする都市圏 ※※Lower Mainland: BC州の南西部をカバーし、BC州の60%の人口を擁する。Greater Vancouver の都市部、海岸沿い地域や山岳地帯、田園地域を含む。
by amtask
| 2019-01-16 04:34
| ◎ ひとり言
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Comments(2)
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rabbitjump at 2019-01-16 09:58
地下落の場所があっても、すぐ近くで
上がっているところもある、 土地の相場は難しくて私にはわかりませんが、 今住んでいる町でも細かく切り売りされた土地、 1億円もするような価格でも すぐに完売しています。 それもお若い方が買われるのには驚きますが 売れたと思ったらもう売却して別の方が買われていたり、めまぐるしい場所もあるようです。投資目的でしょうか、それともローン支払いが出来なくなって、でしょうか、。
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amtask at 2019-01-16 16:40
rabbitさま
こんばんわ。 不動産の価格を決めるのは本当に難しいと思います。 同じ場所でも、線1本ひいて分筆するだけでも、それぞれの価値が変わってきたり、ちょっとした評判で、価格が上がったり下がったり、予測がつきません。 ローン支払いが滞った場合、売れるまでかなりの時間がかかるので、転売だと思います。 後は税制や金利の動向などでも、不動産の価格はかわるので、投資としては安心できません。 住宅はやはり、人が住むため、投資の対象にはしな方が良いかもしれませんね。
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